二酸化炭素(CO₂)消火器とは?特徴・メーカー別品番・設置制限を徹底解説【2026年最新】
📑 目次
- はじめに:二酸化炭素(CO₂)消火器とは?
- 仕組みと消火原理
- 対応火災と能力単位
- メリット・デメリット
- 粉末・強化液消火器との比較
- メーカー別 品番・型式番号(消第)一覧
- メーカー横断比較:7型(薬剤3.2kg)
- 設置基準と設置制限
- 使い方と注意事項
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
はじめに:二酸化炭素(CO₂)消火器とは?
サーバールーム、電気室、美術館の収蔵庫——精密機器や貴重品を守る場所に設置されている消火器、それが二酸化炭素(CO₂)消火器です。
消火剤として液化二酸化炭素(CO₂)を充填し、放射時にガス化して酸素を遮断する「窒息消火」で火を消します。最大の特徴は消火後に残留物がゼロであること。粉末や液体と違い、ガスは自然に拡散するため、精密機器・電子部品・美術品を一切汚しません。
💡 この記事でわかること
- CO₂消火器の仕組みと消火原理
- 対応火災と能力単位の読み方
- メリット・デメリット(粉末・強化液との比較)
- 国内4メーカーの全品番・型式番号(消第)一覧
- 消防法による設置制限(地階・無窓階・20㎡以下)
- 使い方と換気の注意事項
CO₂消火器は「汚損ゼロ」という唯一無二の強みを持つ一方、人体への危険性や設置制限があり、正しい知識が不可欠です。この記事でCO₂消火器のすべてを理解しましょう。
🔬 仕組みと消火原理
中に入っている薬剤は?
CO₂消火器の容器には、液化二酸化炭素(CO₂)が高圧で充填されています。常温で約6MPa(約60気圧)という高い圧力がかかっているため、容器は「高圧ガス保安法」と「消防法」の両方の基準に適合した耐圧容器(ボンベ)を使用しています。
💡 粉末や強化液との違い
粉末消火器や強化液消火器は「薬剤+加圧ガス」の構成ですが、CO₂消火器は薬剤そのものがガスです。薬剤と噴射ガスが同一のため構造がシンプルで、経年劣化もほとんどありません。
どうやって火を消すのか?
CO₂消火器の消火原理は「窒息消火」です。
① 窒息作用——主な消火原理
放射されたCO₂ガスが燃焼面を覆い、空気中の酸素濃度を急激に低下させます。通常約21%の酸素濃度が15%以下になると燃焼は継続できなくなり、火が消えます。
② 冷却作用——補助的な消火原理
液化CO₂が容器から放出される際に急激に気化し、周囲の熱を奪います。放射口付近では-79℃のドライアイス状の白い粉が一時的に発生しますが、これはすぐに昇華(気化)して消えます。ただし冷却効果は限定的で、主な消火作用は窒息です。
⚠️ 注意ポイント
CO₂消火器の消火原理は「窒息消火」が主です。粉末消火器の「抑制消火」、強化液消火器の「冷却消火」とは異なります。それぞれの消火器は消火原理が違うため、適した場面も異なることを覚えておきましょう。
🔥 対応火災と能力単位
B火災・C火災に対応(A火災は非対応)
CO₂消火器はB火災(油火災)とC火災(電気火災)に対応していますが、A火災(普通火災)には対応していません。
| 火災の種類 | 記号 | CO₂消火器 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 普通火災 | A | ✕ | 紙・木材・繊維・ゴムなど固体の可燃物 |
| 油火災 | B | ○ | ガソリン・灯油・食用油・塗料など可燃性液体 |
| 電気火災 | C | ○ | 通電中の電気設備・配電盤・サーバー |
💡 なぜA火災に使えないのか?
紙や木材などの普通火災は、燃えている物自体が高温のため、酸素を遮断してもくすぶり続けて再燃します。CO₂ガスには十分な冷却効果がないため、A火災への消火能力の認定は受けていません。
能力単位の読み方
CO₂消火器の能力単位は「B-2・C」のように表記されます。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| B-2 | 油火災の消火能力が「2」 |
| C | 電気火災に適応する(数字なし。適応の有無のみ) |
A火災の能力単位がないため、CO₂消火器だけでは消防法上の設置基準を満たせない場合があります。建物にはA火災対応の消火器(粉末や強化液)と併設するのが一般的です。
✅ メリット・デメリット
メリット
① 消火後の残留物(汚損)がゼロ
CO₂はガスなので放射後に自然に拡散し、薬剤が一切残りません。精密機器・電子部品・美術品・食品製造ラインへの影響がゼロです。これがCO₂消火器最大の強みであり、他の消火器にはない唯一の特徴です。
② 電気絶縁性が高い
CO₂ガスは電気を通さないため、通電中の電気設備に放射しても感電の危険がありません。サーバールーム・電気室・配電盤の近くに最適です。
③ 薬剤の経年劣化がない
CO₂は安定した不活性ガスのため、通常の保管状態であれば経年による変質がほとんどありません。定期的な総質量の計測で管理でき、維持管理が容易です。
④ 化学変化を起こさない
金属・油類・電子部品などに化学反応を起こさないため、消火後の機器の再使用が可能です。
デメリット
① 人体への危険性(窒息リスク)
CO₂ガスは空気中の酸素を奪って消火するため、密閉空間で大量に放射すると人間が酸欠状態になる危険があります。CO₂濃度が3〜4%で頭痛、7〜10%で意識障害、それ以上で生命の危険があります。
② A火災(普通火災)に使えない
紙・木材・繊維などの固体可燃物の火災には効果がありません。A火災対応の消火器との併設が必要です。
③ 設置場所に法的制限がある
消防法により、地階・無窓階・床面積20㎡以下の部屋には設置できません(詳しくは設置基準で解説)。
④ 重量が重い
高圧ボンベを使用するため、同等能力の粉末消火器に比べて2〜3倍の重量があります。7型(薬剤3.2kg)でも総質量は約10kgです。
⑤ 価格が高い
高圧容器のため粉末消火器の2〜3倍の価格です。7型で税込約46,000〜57,000円程度です。
💡 デメリットへの対策
使用時は必ず換気を確保し、放射後は速やかに退室してください。A火災対応が必要な場所には粉末消火器や強化液消火器を併設し、CO₂消火器は電気設備・精密機器の近くにピンポイントで配置するのが理想的です。
📊 粉末・強化液消火器との比較
| 項目 | 粉末(ABC) | 強化液(中性) | CO₂ |
|---|---|---|---|
| 対応火災 | A・B・C | A・B・C | B・Cのみ |
| 主な消火原理 | 抑制+窒息 | 冷却+浸透 | 窒息 |
| 消火後の汚損 | 多い(粉末飛散) | 少ない(液体) | ゼロ |
| 再燃防止 | △ 弱い | ◎ 強い | △ 弱い |
| 人体への安全性 | ○ 安全 | ◎ 安全 | △ 窒息リスク |
| 総質量(7型相当) | 約3.9〜5.1 kg | 約5.8〜6.2 kg | 約10 kg |
| 参考価格(7型相当) | ¥24,200〜25,300 | ¥18,900〜30,580 | ¥46,200〜57,200 |
| 設置制限 | なし | なし | あり(地階等) |
| 最適な場所 | 汎用(どこでも) | 飲食店厨房 | サーバー室・電気室 |
📋 メーカー別 品番・型式番号(消第)一覧
国内主要4メーカーのCO₂消火器を一覧にまとめました。すべて蓄圧式(高圧ガス容器)で、ストップ機構(断続放射)付きです。
🔴 ヤマトプロテック
法律で定められた高圧ボンベ容器に二酸化炭素を圧入。断続放射が可能なストップ機構付きで、効果的に消火活動ができます。
| 品番 | 型式番号(消第) | 薬剤量 | 能力単位 | 総質量 | 放射時間 | 放射距離 | 税込参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| YC-5XⅡ | 消第23~426号 | 2.4 kg | B-1・C | 約8.5 kg | 約14秒 | 2〜4 m | ¥42,900 |
| YC-7XⅡ | 消第23~427号 | 3.2 kg | B-2・C | 約10.5 kg | 約19秒 | 2〜4 m | ¥52,800 |
| YC-10XⅡ | 消第23~428号 | 4.6 kg | B-3・C | 約15.0 kg | 約22秒 | 2〜5 m | ¥63,800 |
💡 ポイント
- YC-7XⅡがサーバールームや電気室に最もよく設置される標準サイズです
- すべてストップ機構付きで断続放射が可能です
🔴 モリタ宮田工業
消火後の残留物がなく、クリーンな状態を保てるCO₂消火器。電気絶縁性に優れ、経年変化がほとんどありません。5型〜15型まで4サイズを展開。
| 品番 | 型式番号(消第) | 薬剤量 | 能力単位 | 総質量 | 放射時間 | 放射距離 | 税込参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MCF5 | 消第27~20号 | 2.3 kg | B-1・C | 約8.0 kg | 約14秒 | 2〜4 m | ¥47,300 |
| MCF7 | 消第27~21号 | 3.2 kg | B-2・C | 約10.0 kg | 約18秒 | 2〜4 m | ¥56,650 |
| MCF10 | 消第27~22号 | 4.6 kg | B-3・C | 約14.0 kg | 約23秒 | 3〜4 m | ¥63,800 |
| MCF15 | 消第27~23号 | 6.8 kg | B-4・C | 約20.0 kg | 約34秒 | 3〜4 m | ¥71,500 |
💡 ポイント
- MCF15(15型)は4社中唯一の15型。大型電気室や変電室に最適です
- 定期的に総質量を計測し、ガス質量が規定の10%以上不足した場合は補てんが必要です
🔴 初田製作所(HATSUTA)
ECOSSブランドのCO₂消火器。強力な窒息効果で電子機器を安全に守ります。CG-15は受注生産品です。
| 品番 | 型式番号(消第) | 薬剤量 | 能力単位 | 総質量 | 放射時間 | 放射距離 | 税込参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CG-5 | 消第23~253号 | 2.3 kg | B-1・C | 約8.2 kg | 約14秒 | 2〜4 m | ¥45,100 |
| CG-7 | 消第23~252号 | 3.2 kg | B-2・C | 約10.0 kg | 約18秒 | 2〜4 m | ¥53,900 |
| CG-10 | 消第23~251号 | 4.6 kg | B-3・C | 約14.1 kg | 約23秒 | 3〜4 m | ¥60,500 |
| CG-15(受注生産) | 消第23~315号 | 6.8 kg | B-4・C | 約20.3 kg | 約34秒 | 3〜4 m | ¥71,500 |
💡 ポイント
- CG-5とCG-7が最も一般的なサイズです
- PFOS非該当・PRTR法非該当で環境規制に対応しています
🔴 マルヤマエクセル(丸山製作所)
二酸化炭素ガスによる窒息作用で消火。3サイズ(5型・7型・10型)を展開しています。
| 品番 | 型式番号(消第) | 薬剤量 | 能力単位 | 総質量 | 放射時間 | 放射距離 | 税込参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CO2A-5H | 消第26~9号 | 2.3 kg | B-1・C | 約8.2 kg | 約14秒 | 2〜4 m | — |
| CO2A-7H | 消第26~10号 | 3.2 kg | B-2・C | 約10.0 kg | 約18秒 | 2〜4 m | — |
| CO2A-10H | 消第26~11号 | 4.6 kg | B-3・C | 約14.1 kg | 約23秒 | 3〜4 m | — |
📊 メーカー横断比較:7型(薬剤3.2kg)
サーバールームや電気室に最もよく設置される7型(薬剤3.2kg)を4社で比較しました。
| メーカー | 品番 | 型式番号(消第) | 総質量 | 能力単位 | 放射時間 | 税込参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ヤマトプロテック | YC-7XⅡ | 消第23~427号 | 約10.5 kg | B-2・C | 約19秒 | ¥52,800 |
| モリタ宮田工業 | MCF7 | 消第27~21号 | 約10.0 kg | B-2・C | 約18秒 | ¥56,650 |
| 初田製作所 | CG-7 | 消第23~252号 | 約10.0 kg | B-2・C | 約18秒 | ¥53,900 |
| マルヤマエクセル | CO2A-7H | 消第26~10号 | 約10.0 kg | B-2・C | 約18秒 | — |
💡 比較のポイント
- 能力単位はいずれもB-2・Cで同等。性能面の差はほぼありません
- 価格で選ぶならヤマトプロテック YC-7XⅡ(¥52,800)が4社中最安
- 15型が必要な大型施設にはモリタ宮田 MCF15 または初田 CG-15を選択
- CO₂消火器は各社ともスペックが近似しており、既存の取引先や保守体制で選ぶのが現実的です
📐 設置基準と設置制限
CO₂消火器は窒息消火の性質上、消防法で設置できない場所が明確に定められています。
設置が禁止されている場所
消防法施行規則第6条の5により、以下の場所にはCO₂消火器を設置してはなりません。
① 地階(地下階)
換気が不十分になりやすく、CO₂ガスが滞留して酸欠の危険が高いためです。
② 無窓階
避難上有効な開口部を有しない階(消防法上の無窓階)も、換気が困難なため設置禁止です。
③ 居室で床面積20㎡以下かつ開口部が床面積の1/30以下の場所
狭い密閉空間ではCO₂ガスの濃度が急激に上昇し、人命に危険が及ぶためです。
⚠️ 重要
上記の場所では、粉末消火器や強化液消火器など他の消火器を設置してください。CO₂消火器はあくまで「換気が確保できる場所」での使用が前提です。
基本的な設置ルール(消防法共通)
① 歩行距離20m以内に配置(大型消火器は30m以内)
② 各階に設置
③ 床面からの高さ1.5m以下に設置し、「消火器」の標識を掲示
④ A火災対応の消火器と併設が必要
CO₂消火器はA火災に対応していないため、建物のA火災に必要な能力単位は粉末消火器や強化液消火器で別途カバーする必要があります。
🧯 使い方と注意事項
CO₂消火器の使い方は粉末消火器と同じ3ステップですが、CO₂特有の注意点があります。
Step 1:ピンを抜く
安全栓(黄色いピン)を上に引き抜きます。
Step 2:ホーン(放射管)を向ける
ホーン(ラッパ状の放射管)を火元の根元に向けます。ホーンの先端には絶対に触れないでください。放射時に-79℃まで冷却され、凍傷の危険があります。
Step 3:レバーを握る
上レバーを強く握り、火元に向けて放射します。ストップ機構付きのため、レバーを離せば放射が止まります。
⚠️ CO₂消火器特有の注意事項
- 換気を確保してから使用してください。密閉空間での使用は酸欠の危険があります
- 放射後は速やかに部屋を換気し、CO₂ガスを排出してください
- ホーン(放射管)に触れない。放射時に-79℃まで冷却され、凍傷を起こします
- 放射時に大きな放射音がします。驚かないように心構えをしておきましょう
- 一度でも放射した場合は、残量に関わらず必ず再充てんしてください
- 使用温度範囲は-30℃〜+40℃です
❓ よくある質問(FAQ)
Q1: CO₂消火器の有効期限はどのくらいですか?
A: CO₂消火器には粉末消火器のような「設計標準使用期限」の概念はありません。ただし高圧ガス保安法に基づく容器の耐圧試験(容器再検査)が必要です。製造後の経過年数に応じて定期的に耐圧試験を実施し、合格すれば引き続き使用できます。また、定期的に総質量を計測し、ガス質量が規定の10%以上不足していれば再充てんが必要です。
Q2: CO₂消火器はオフィスに置いても大丈夫ですか?
A: 設置制限に該当しない場所(地階でない・無窓階でない・20㎡超の部屋)であれば設置可能です。ただしA火災に対応していないため、粉末または強化液消火器と併設してください。
Q3: CO₂消火器を使ったらすぐに部屋から出るべきですか?
A: はい。消火後は速やかに退室し、十分に換気してください。CO₂は無色無臭のため、高濃度になっても気づきにくく、酸欠状態に陥る危険があります。
Q4: 粉末消火器とCO₂消火器、サーバールームにはどちらがいいですか?
A: CO₂消火器が最適です。粉末消火器は微細な粉末が精密機器の内部に入り込み、故障の原因になります。CO₂消火器なら消火後の残留物がゼロのため、機器への影響がありません。
→ 関連記事: 粉末(ABC)消火器とは?
Q5: CO₂消火器の点検は何をすればいいですか?
A: 6ヶ月ごとの機器点検では、外観(容器の腐食・損傷)、安全栓の有無、ホースの亀裂、総質量の計測(規定量の10%以上不足なら再充てん)を確認します。高圧ガス保安法に基づく容器再検査(耐圧試験)も必要です。
Q6: CO₂消火器は飲食店の厨房に向いていますか?
A: 向いていません。厨房の油火災には冷却効果が高く再燃防止に優れる強化液(中性)消火器が最適です。CO₂消火器は冷却効果が弱いため、高温の油が再燃するリスクがあります。
→ 関連記事: 強化液(中性)消火器とは?
まとめ
- CO₂消火器は窒息消火で火を消し、消火後の残留物(汚損)がゼロ
- 対応火災はB火災(油)・C火災(電気)のみ。A火災には使えない
- サーバールーム・電気室・美術品収蔵庫・食品工場など精密機器や貴重品を守る場所に最適
- 消防法により地階・無窓階・床面積20㎡以下の部屋には設置禁止
- 使用時は換気を確保し、放射後は速やかに退室。ホーンに触れると凍傷の危険あり
- 7型の比較:最安値はヤマトプロテック YC-7XⅡ(¥52,800)、最軽量はモリタ宮田MCF7・初田CG-7・マルヤマCO2A-7H(約10.0kg)
- 15型が必要な大型施設にはモリタ宮田 MCF15 / 初田 CG-15
- A火災対応には粉末消火器または強化液消火器との併設が必要
→ 関連記事: 粉末(ABC)消火器とは? | 強化液(中性)消火器とは? | 消火器の種類一覧
免責事項:本記事の情報はメーカー公式サイト・消防関係公的資料に基づいています。型式変更・後継機種の発売により内容が変わる場合がありますので、最新情報は各メーカーにご確認ください。